坊主頭がやめられない。楽なのと、頭皮を撫でる風が気持ちいいから。
確か、何かのきっかけで坊主にしたのだけれど、そのきっかけも忘れてしまった。その程度のきっかけでしかなかったのだろうと思う。学生の頃と変わったと思うのは、坊主頭にしても触ってくる人がいなくなったこと。それだけ周囲が大人になったのだと感じてしまう。自分が坊主頭の人を見つけたら、きっと捏ね繰り回してしまうのに。みんな大人だなぁとついつ感じてしまうのが、少し切ない。
さて、いつも坊主頭にしてくれているのが美容師のあけちゃん。
「品のいい坊主にしてください。」
とのリクエストに、初めて満足いく結果を出してくれた美容師さんで、それ以来の付き合いになっている。もう今では、「品のよさ」は取ってしまって、「短く!」「ちょっと長く」といったリクエストしか出さないようになってしまったけれど。
あけちゃんは、
「私がずっと話しているから、喉が渇く。」
と、たまに際どいことを言うものの、なんだかんだで眉毛カットや指名料の割引やらのサービスをしてくれるのだけれど、そんなことされると恐縮してしまう。
だって、坊主頭は切るのが簡単と思われがちだけれど、実はものすごく面倒くさいらしい。もちろんあけちゃんはそんなことを言わないけれど、手で切ってくれているし、切る量は相当なもの。しかも、短いのに長さを揃えながら切っていかなくてはいけないから、その時の緊張感は相当なものだろうと勝手に思っている。
一度、バリカンでやってもらったことがあるけれど、結局は手でもう一度修正しなおすから、時間がほとんど変わらず、それ以来バリカンは止めてしまった。それくらいあけちゃんは精魂込めて坊主にくれているみたい。さらに言えば、作業の間、ほとんど話させてしまっているから、
「がんばってるな~。」
と、ひとごとの用に思ってしまう。
長い付き合になるなぁと感じていたけれど、まだ半年ぐらいしかたっていなかったらしい。それでも、あけちゃんは自分との付き合い方が多少分かったらしく、席に着くとまず煎茶を持ってきてくれて、適度にしゃべってくれて、眠い時はほったらかしにして寝させてくれる。アシスタントに任せればいいのに、頭をゴシゴシいい力加減で洗ってくれて、帰りは見えなくなるまで手を振ってくれる。たぶん、美容師として普通のことなのかもしれないけれど、居心地がいい人ってそれほどいないから、とても助かる。こちらが指名料を上乗せしたいくらい。
そうそう、坊主頭なのに、ワックスをつけてくれてキュッと頭を上に引っ張ってくれる瞬間が好き。キューピーさんになれる気分。
ありがとう、あけちゃん。