Never Ending Story

零時を過ぎて、携帯からNever Ending Storyが、PHSからはBreathlessが何度か流れる。

 

想像していなかった分、驚いたし嬉しかった。自分の元に来た一つ一つのメッセージは、簡単な言葉だけれど、それらは自分の外面と外界の境界をぼやかすもの。だからこそ、感謝したい。

 

それでも、今はいくつもの言葉よりも、あなたからの言葉だけあればいい。一番欲しいあなたからのメッセージはまだ届かない。たった一言でいい。一言でもあなたからメッセージが来たなら今日という日があってよかったと思えるだろう。

 

自分の誕生日ですら、まだ先の、あなたの誕生日のため、不毛な努力におわれている自分が哀れでならない。その哀れさを、少しでも慰めてくれるのは、あなたの言葉だけなのだから。

 

また、携帯がなりはじめる。けれど、あなたの着信音ではない。

Never Ending StoryとBreathles。

 

どうも、息もできないほど苦しい、終わりの見えない旅をしなければならないらしい。

美人局からのメール

先週、ブログに付属しているメールに新着メールが来ていた。
覗いて見ると、
「近々ごはんでも食べに行きませんか?」
とのメール。

 

これが単なる出会い系のメールならば問題はない。だが、一部の人間にしか公開していない自分のブログの中において、唯一といっていい、リアルライフで全く知らない人からのもの。彼女は、偶然ブログにたどり着いて、何の気まぐれか、たびたび訪れてくれているらしい。

 

他方、自分も彼女のブログを頻繁に訪れているから、彼女の思考や行動がなんとなく理解できて、いつの日かこういうメールが来る気がしていた。そして、それを待っていた気すらする。

 

それでも、実際、リアルライフで全く知らない女性から
「ごはんでもいきませんか?」
と言われると、形式上だけでも、
「美人局みたいな展開でステキですね。」
と牽制くなる。
「まどろっこしい展開が嫌いだから。」
図ったかのような彼女の回答に、さらに戸惑う。

 

会うべきか、会わざるべきか。

 

美人局にあって、困るほどの金はない。あまりにシュールすぎる会話になりそうだということ、若干不安があるだけなのだが。

このメールを削除しますか?

「メールを削除しました。」

偶然見えた隣の人の携帯のディスプレイに表示されたメッセージを目にして、自分の心が削除されたように痛んだ。

 

もちろん、それがどんなメールで、どういう経緯で削除されたのかを知る由もない。単なる出会い系のメールだったのかもしれないし、以前の恋人がくれた最後のメールを、思いを断ち切るために削除したのかもしれない。片思いの相手へ出せなかったメールを自分の切なさと一緒に削除したとも考えられる。

 

向かいの窓に映る彼女の表情からは、何もうかがえない。

心が痛んだ理由は、二つある。一つは、削除されたメールの送信者を想った。もう一つは、きっと、かつて誰かに削除されたであろう自分のメールを想った。何の抵抗もできず必死のアピールも空しく容赦なく削除されてしまったメール。きっと、あのメールのたどった運命はそうに違いないと、過去を回想する。

 

手紙ならば、千切られ、焼かれ灰になっても、形は残る。

 

だが、一度も形にならなかったメールは、それすら許されない。削除される間際、託された思いを、今度は誰に託すのだろう。もしかすると、配達者を失った気持ちは、憑依先を失って行く当てもなく漂っているのではないだろうか。雨の夜が、こんなにも切なくなるのは、漂っていた切ない気持ちが雨と一緒に降り注ぐからかもしれない。

 

明日はスパムメールも生かしておこう。とりあえず、雨が止むまでは。