
作家ではないから、万年筆に別段の愛着があって、好みがあったりするわけではないけれど、おそらく大方の人と同じように筆記用具に関してのこだわりがあります。文字を書くという行為は、パソコン全盛期になっても、やはり生活の根幹にあるわけで、そうした場合、自分にとって書きやすい道具を愛用するのは、自然な流れだと思います。
私は昔から、この傾向がとても強くて、シャーペンにしてもボールペンにしても、同じものを使い、同じものがなければ、どこまでも捜し求めるということをしていました。
こだわりといってもシャーペンなら、1000円ほどだったし(中学生の時は、それでも大きな出費でしたが)ボールペンなら100円ほどのものです。ボールペンなら、探しに行く電車賃の方が高くなってしまうわけですが、探すことは冒険のようにわくわくしますし、見つけた時は宝探しの財宝がみつかった時のような天まで飛び跳ねそうな心境になるので、やめられません。もちろん、その分見付からなかった時のやるせなさは、どうしようもないものでした。
私が愛用しているボールペンは、PILOTのG-3、0.38mmというものです。黒はもちろん、赤、青も好んで使っています。でも、緑だけは使ったことがありません。同じPILOTのG-3で、0.5mmなどもありますが、文字の太さや書いた時にペン先から感じるわずかな紙の抵抗感が好きで、細いものを選んでいます。それほど、出回っていないということもないのでしょうが、このペンを見つけるのはなかなか苦心します。大きな文房具のお店を訪ねても、このペンを見つけることは滅多にないのです。私がこのペンを買うのは、池袋のLOFTがほとんどなのですが、池袋に滅多に行かない私は、もう置いてないのではないかと、はらはらしながらペン売り場でそのペンを探すのです。そして、見つけるとか着心地を試して、やはりこれだと納得するのです。
それにしても、自分の行動もそうですし、ペン売り場に置かれているペンの種類や、一つ一つ書き心地を試す人達をみていると、どれだけ書くことに人が気をつかっているか分かりますね。予断になりますが、私は書き心地を試す時は、ぐるぐる円を描いたりせず文字を書くのですが、何の文字を書くべきなのかいつも迷ってしまいます。いくら誰も見ていないとは言え、変な言葉を書いてしまったら、場違いなところにマーキングしたようで恥ずかしいですしね。たまに、験し書きの紙に面白い言葉が書いてあって微笑んでしまいます。せめて、そんな機知のある言葉を書ければいいなと思いますが。
今日、久しぶりに池袋に行ったので、そのペンを買い求めてきました。何代目でしょうか。愛用しているとはいえ、インクがなくなることはそれほどないため丁度片手でぐらいでしょうか。それにしても、好きなものを手に入れたときの、この心から湧き出る楽しさはなんなのでしょう。幼少期に戻ったような気分にさせてくれます。そして、新しいボールペンの感触を確かめるために、ノートに落書きをしながら、新しいペンを買ったのだからもう少し字を綺麗に書こうと毎度のごとく思うのでした。