罪と罰


駐車場として開けていた家の前に、3階建ての銀行の建物が建って1年が経つ。
普段家にいないからなのか、ベランダからの視界は遮られてりるのに
まだ慣れない。




その隣は、お駐車場のまま。
このままで建物が建ったら、と思うと息苦しさすら感じてしまう。
駐車場ができる前、ここはうっそうと茂った小さな森のようだった。




森、と言っても、現在、車が10台停まれる程度の駐車場なのだから、
東京にしては少々大きい、手入れの届いていない程度の庭だったのだが、
上から眺めると異次元の世界に思えた。




大きな木が数本と、地面が見えないほど茂った中小の草木。
夏になると燕が巣をつくり、住宅地の中にかすかな自然を残してくれていた。




母の話によると、その家のご主人が亡くなって、
ただっぴろい庭に手に余った家族が駐車場にしたという。




今は、駐車場に1本の樹が残されただけ。
伐採された樹の代わりに外灯が傍に立つ。
もう燕は来なくなった。




感じるのは無責任な寂しさだけかと思ったが、意外な発見があった。
枝を伸ばし、葉が満ち溢れるこの時期になると、
外灯を覆い樹が発光しているように見える。
しかも、後ろの銀行の白壁が光に舞う樹を栄えさせる。




帰りが深夜になり、ひっそりとした中でその光景を見るたび
思わず立ち止まってしまう。




出来る過程の一つ一つは自分にとって寂しく、悲しく、
そして自分にはどうしようもない出来事。
そんな出来事が重なった風景なら、皮肉にもほどがある。

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