明暗

本を読んでいるとつい手元にある紙切れをしおり代わりに使ってしまうことが多い。美術館などの半券やおみくじだとかとにかくしおり代わりになれば何でもそうしてしまうのだが、後々本を読み返すとき、あらすじと共に挟まっている「しおり」のあらすじに触れるのも一つの楽しみだったりする。明暗に挟まっていたのは、2006年に上映された海猿の映画の半券。ただ、読み返したわけではなく、6年以上かけてダラダラと読みすすみ、ようやく読み終わった。

 

夏目漱石は、タイトルをあまり考えずにつけたと嘘だか本当だか分からない話を聞いたことがあるけれど、作中の感情、人物、時間の直前直後の対比を目の当たりにすると、明暗という題は恐ろしいほどに適切な気がする。そして、もう一つこの作品の恐ろしいところは、読者が「この登場人物の味方になろう」という視点になりえる人物が一人もいないまま話が進んでいく。それが常に読者を第三者であらせようとする作品の面白さだったり、読むのに6年もかかってしまった理由だったりもするのだろうけれど。

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